第2章 再会
私を抱き寄せた保科さんはぎこちなく微かに震えた手で私に触れていた。彼の温度が心地よくてすぐに冷えていた心が温みを増していくのがわかった。
だけど、泣いているところを見られた恥ずかしさと、特別な人に抱き締められた驚きで慌てて離れると、保科さんは何事もなかったように笑って自主トレのメニューに付き合ってくれた。
「隊員なん?」
「いえ、訓練校生で第3部隊にお世話になっております」
「第3部隊に?よう知らんけど、なんや事情があるようやな。…君、ええ隊員になれるで。頑張りや」
そろそろ終わりにしよかとトレーニングルームの端で壁に寄りかかりながら笑顔を見せる保科さん。
覚えていないのだろうか…私が第3部隊に所属していた夫婦の子供だと。
ありがとうございますと答えて笑顔を向ければ、保科さんの顔も綻ぶ。あぁ――いいな、この顔、好き…もう全てを受け入れた。一生叶わないものでもいい、ただあなたを好きでいたい。
ほな…とトレーニングルームを後にする保科さんの背中を見つめ、自己紹介をしていないことに気付く。きっと保科さんは私だと気付いていない。でも、どうせ亜白隊長から私の素性は明かされるだろうしいいかと、私もトレーニングルームを後にした。