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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第6章 仮契 〜演契〜


八重歯が光る彼を見つめていると、執務室の外から視線を感じた。

耳元に唇を寄せた彼は甘く囁く。

「いつも僕の方が好きみたいに見られとるから、君から僕を求めて」

耳元から離れた彼はどうする?というような顔で見つめてくるので、そっとその頬に手を添えた。副隊長も気付いてるんだ。見られていることに。

そっと口付けて離れようとすると、後頭部を持たれて深いものに変わっていく。

基地内でこんなキス…いけないと思うのに応えてしまっている自分がいる。もっと、深くまで私に触れて…。背筋まで甘い痺れが伝わり、欲が顔を出す。

絡んだ舌が離れて、額を合わせて見つめ合う。

「……好きや、澪ちゃん」

瞳に宿る熱が、その言葉が本物だと錯覚させる。

胸に手を置いた彼がふっ、と笑った。ここまで演技してるん?と…。全部演技じゃないから胸が高鳴るんです。あなたを求めてるんです。

全てを飲み込んでぎゅっと首に縋って抱きついた。
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