第6章 仮契 〜演契〜
基地に着くとまだ息が上がっていて、涼しい顔をした副隊長に負けじと整えていく。握られたままの手がじんわりと汗をかいていて、恥ずかしくなった。
「澪ちゃん、僕…澪ちゃんに好き言われたい。ええ?」
もう演技が始まってる!?
ちらほらと周りにいる隊員に意識が向く。
耳元でちゃんと感情込めてや?と囁かれた。
「そ、宗四郎さん…好き、です。すごく…」
肩を寄せ合い、彼の顔を見上げながら呟く。照れるのと同時に、演技だと思われているのが辛かった。
「ん、僕も好き。澪ちゃん可愛ええ」
また耳元で囁かれながら庁舎に入っていく。