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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第5章 仮契 〜契初〜


甘い声で名前を呼ばれて微かに目を開けると、上から覗き込むようにして寝顔を見つめられていた。しかも、距離が近い。

見ないで、と言うように腕で顔を隠した。

「……おはようのちゅーないとあかんのやろ」

結局腕は優しく取られてベッドに縫い付けられる。目を瞑っていると唇が重なり舌が侵入してきた。副隊長の寝起きにキスするのはいいけど、私の寝起きにキスはされたくないのだが…せめて歯を磨いてからにして欲しい…。

そんなことを考えていても寝起きのボーッとした頭は副隊長のキスに翻弄されて真っ白になってしまう。

離れた唇で荒く息をしながら、蕩けた目で副隊長を見つめた。かっこいいな、好きだな…という感情を滲ませながら。

「ふっ…寝たらあかんで、起きや。はよ飯食って出んと遅刻するで」

また目を瞑って寝ようとすれば布団を剥ぎ取られて、無防備に露出したままの突起を弾かれて、ビクッと反応する身体と共に甘い声が漏れる。

「起きんと…下も触るで?」

腕を頭の上に伸ばしたままの私の身体を弄る。お腹を撫でた指は下着の中に入っていき、少しだけ茂みを撫でると割れ目をなぞった。

「あれ?嫌がらんの?」

恥ずかしさとかそういうのよりも、眠気が勝ってしまう。

「あっ…んぅ……もう少し…」

軽く押し込まれた指は敏感なところに触れ、響くような甘い声を発してしまった。

「もう少し?…触って欲しいん?」

「ちがぁう…」

副隊長はクスクスと笑いながら手を抜き、はよ起きやと私の身体を起こす。目が開かないながらもしっかりしがみついて、耳元で力技はずるい…と呟く。

「遅れる言うとるやろ。眠いんはわかるけど、遅刻は許さへん」

そのまま寝室から連れ出された。
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