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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第5章 仮契 〜契初〜


下着を下げながらソレの目の前まで来ると、副隊長の匂いが微かにした。これが、男の匂いというものだろうか。

迷いながら先端をぺろっと舐めて、先走りを飲み込む。わかっている、私じゃ副隊長を満足させられない。それでも、触れたいと思った。

「っ…嫌やないの?でも…それ以上したら、僕…止まらんくなるで?今のうちにやめときや」

布団から顔を出すと、ええ子…と抱き寄せられる。その腕の温かさに目を閉じた。

「舐めたやろ…うがいしに行こか。手も洗わんと…」

気にしないのに…手は副隊長に触れられないから洗いたいけども…。

「澪ちゃんは甘えたやからなぁ、抱っこして連れてったる!」

別にそこまで甘えるつもりは…と思いながらも、抱え上げられればギュッと首にしがみついた。

洗面所まで来ると副隊長は私を降ろし、きつい…と呟いてトイレに入っていった。見たい欲に駆られながらも、その欲を振り払って手を洗う。

洗い終わって蛇口を捻れば、トイレから微かに甘く掠れた声が聞こえた。背徳感を抱きながら洗面所を出て廊下で待つ。

副隊長の…熱くておっきかった…みんな、あんなもんなのだろうか。

だんだんと近付いていく身体の距離に胸を踊らせながらも、どこまでも遠い心の距離に気持ちを沈めていく。甘く残酷な痛みだけが残った。
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