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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第5章 仮契 〜契初〜


「あのですね…もししたいなら、いい方法があると思うんですよ…」

温かい胸に顔を寄せながら、お腹に副隊長の熱を感じていた。
なに?と聞いてくる彼の顔を見上げる。

「……なんで無理やりしないんですか?ここまで許してる女ですよ?」

「アホ。僕がそんな酷い男に見えるか?女の子には優しくせなあかんやろ。本気で拒んでることくらいわかっとる」

副隊長の優しさに胸が温かくなるのと同時に、"酷い男"というのに疑問を持った。無自覚に酷いことしてますよ…。気持ちがない子に優しくしたらダメなんですよ。

胸に顔を擦り寄せて甘える。この人のここが私のものだったらいいのにと、胸の中心に口付けた。

「……僕、我慢しとるのわかっとるやろ。あんま煽らんといて…」

熱い吐息が先程から頭にかかっているのはわかっている。私のお腹を押し返す熱にも気付いている。でも…我慢してください。私はずっと我慢してるんです、この気持ちを押し付けてはいけないとわかっているから…。

背中から手を離して副隊長の下着の中に手を入れ、その粘着質な液体を溢れさせる先端に触れた。

ピクッと震えた彼の熱を手の平で包み込む。ええ…と言いながら私の腕を掴む副隊長の手には、力が入っていなかった。

「宗四郎さん…私は誰ですか?」

首を傾げた副隊長は静かに私の名前を呼んだ。

「朝霧?澪?…ちゃん?」

思わず笑って、自ら口付けた。初めて起きている副隊長に自分から唇を重ねる。

「宗四郎さんは、私のことをなんて呼ぶの?」

「ん?澪ちゃん?」

「合格です」

意味がわからないと呆けている副隊長にまた口付けた。本当はそのまま私の名前を呼んで情熱的に求めて欲しい。けど、そんなことを言ってしまえば、私の気持ちはバレてしまう。

「なんや、甘えとるんかいな…どこ触りながら甘えとるん、ほんま…」

撫でる度に水音をたてる副隊長は、相当我慢していたようだ。

満たされた気持ちのまま布団の中に潜り込んだ。
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