第5章 仮契 〜契初〜
朝、目が覚めれば目の前に綺麗な顔があって、副隊長…?と寝ているのか確かめてから、一瞬…本当に一瞬だけ唇を触れさせた。夜、あんなことしてたから、少しくらいいいよね…と私も自身の行為を正当化させた。
ご飯を作りたいが、抱き締められていて抜け出せそうにない。いつの間にか私も副隊長の背中に手を回していたので、ゆっくりその腕を引いていく。
軽く腕を掴んで持ち上げようとしたら、グッと引き寄せられた。
「…まだええやろ…おって…」
「そ…副隊長、ご飯作らないと…」
腕の力が緩んだのに気付いてすぐに抜け出す。寝ててくださいと軽く髪を撫でてから、反応を見ずに寝室を出た。キスしたの、気付いていたんだろうか…わからない。
顔を洗ったりしてから夜の片付けをし、急いでご飯の準備を始めた。少し遅くなりそうだ。珈琲も私が淹れておこう、拘りがあったらごめんなさいだけど、副隊長はもう少し寝かせておこう。
副隊長は朝、珈琲を必ず飲むから、朝のメニューは洋風になってしまう。チーズを乗せた食パンをトーストしてレタスやハムを挟んで、斜めに半分に切る。
珈琲とサンドイッチをテーブルに運んでから副隊長を起こしにいく。
「副隊長…ご飯出来ました」
「ん…アヤ…」
え?