• テキストサイズ

偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第5章 仮契 〜契初〜


「ベッド行こか。そのまま寝てもええように…」

まるで、マッサージをするだけかのように優しく言って私を抱え上げる。
寝室は別々のはずなのに副隊長の寝室に入って、私の身体はベッドにゆっくり降ろされた。

ベッドの端で座っていると目の前でTシャツを脱いだ彼に目を奪われる。鍛え上げられた体躯…腰や足は細いのに、胸や腕の筋肉は美しくしなやかに鍛えられている。

待って…なんで服脱いだの?さすがに最後まではしたくないです。だって、副隊長の気持ちは…。

それでも私の昂った気持ちや酔った勢いで、抵抗も何も出来ず、ただ美しい筋肉を見つめていた。

私の服の裾を掴んだ副隊長は、ゆっくりと脱がせていく。下着姿は一度見られている。あの時と状況は違うが、ほんの少しだけ余裕がある。

薄暗い寝室で確かめるように肩に触れながら近付いてくる副隊長を拒むことはしなかった。そのまま肌と肌が重なって、直接彼の温度が伝わってくる。

私の身体が全部、心臓になってるみたいに肩にかかる熱い息でピクピクと反応した。

「澪ちゃん、落ち着いて。心臓の音やばいで…」

「あっ…耳…」

耳元で囁かれて息がかかり、大きく反応してしまう。その反応を見た彼は、耳に軽く息を吹きかけ、微かに触れた。何で触れているのかわからない程、優しく微かにもどかしく…。

動きが出るとそれは舌だと気付いた。ゆっくり私の反応を確かめるながら舐めていく。恥ずかしい程に反応して、今までよりも甘い声が大きく漏れてしまう。

「…可愛ええ」

その甘い言葉を残して離れていく。どうしていいかわからない私の手は、副隊長に触れようとして伸ばしても、引っ込んでしまう。こういう時、私は何をしたらいいの?
/ 409ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp