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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第5章 仮契 〜契初〜


絡められた指が解け、彼の指はまた腕を這いながら戻っていく。胸の膨らみに指先を触れさせると、確かめるように私の顔を覗き込んだ。私はどうしていいかわからずに、見つめ返すことも恥ずかしくて、目は伏せたままだった。

ゆっくり膨らみが手の平で包み込まれていく。早くなった鼓動がその手に伝わってしまいそう。

下腹部が疼いて折っていた膝を立ててぎゅっと閉じた。耐える為に閉じたのに広げられて、副隊長はその膝の間に身体を滑り込ませる。

一度離れた手はまた胸を包み込むだけで、指を動かしたりはしない。それでも私はその手の温かさに反応して、荒く吐く吐息に甘い声を滲ませる。

「あ…宗四郎さん…っ、はぁ…」

この人の全てが私のものになったらいいのに…と熱を宿す赤紫の瞳を見つめた。

宗四郎さん…好き、好きです。どうしようもなくあなたの心が欲しい。恋しい。その優しい手で私は、あなたの頭の中ではどうなっているの?あなたの気持ちが知りたい。知りたいのに…。

「嫌やない?怖ない?…大丈夫や、少しでも嫌がったらやめる」

ほんの僅か、指先が膨らみに押し込まれる。その感覚と布越しに伝わる指の熱さに息を飲んだ。その瞬間、指から力が抜けて沈んだ膨らみが元に戻る。

それでも無防備な体勢のまま受け入れていると、少しずつゆっくり、揉むように指が動き始めた。

極限まで甘い雰囲気ともどかしく触れられたことで、私の気持ちはどんどん昂っていく。胸を優しく揉まれているだけなのに甘い声は微かに何度も漏れる。

顔を背け目を細めながら、副隊長の指に応えることしか出来なかった。
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