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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第5章 仮契 〜契初〜


太腿に触れたまま彼は私の太腿の間から手を抜き、ソファの前に座ったままの私の身体をゆっくりとソファに預けた。

薔薇柘榴石のように美しく輝く瞳が私を射抜いている。

ゆっくりと目を伏せて、ソファの上に両腕を投げ出した。無防備になった私を見て、太腿に触れた彼の手は確かめるように、ゆっくりと布越しに私の肌を滑っていく。

手が腰に移動し脇腹を撫でると、私の身体はピクッと震えた。その反応を見て手が離れる。でも私がそのまま無防備な格好でいると、また指がもどかしく触れた。

副隊長の指が私の身体を滑る度に身体が反応し、息が荒くなっていく。

どうしたらいいかわからない、でも嫌じゃないから、もっと触れていて欲しい。

「澪ちゃん…可愛ええよ」

甘い声で甘い言葉が吐かれる。

「ん…っ……はっ…そう、しろうさん…」

副隊長はそのまま指を脇、二の腕と滑らせていく。私が反応する度に動きは止まって、まるで私の反応を確かめているみたい。

自分の身体が自分のものじゃないみたいに反応して、恥ずかしい声が漏れてしまう。それでも、熱を帯びた瞳で彼に見つめられ、熱い指で触れられるのは嬉しかった。

彼の中で私は"子供"から"女"になったのだろうか。

私の手まで辿り着いた彼は指を絡めてぎゅっと握った。覆い被さるように上から私を見つめてきて、唇で首筋に触れる。瞬間、チクッとした甘い痺れが走った。

「これついとった方が、夫婦っぽいやろ?」

首を傾げると、キスマークやと笑う。あくまで偽装の為…私に対して副隊長が独占欲を露わにするはずない。わかっているのに、胸は高鳴るばかり。
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