第2章 再会
剣道の合流試合が終わり、第6部隊から異動してくる隊員がいると知らされた。どうやら、亜白隊長直々に引き抜いたらしい。亜白隊長が気に入る程の人だ、きっと、すごくいい人で強いのだろう。
ある日、隊員たちがまだ演習場や訓練室で訓練をしている間に、トレーニングルームで自主トレをしていると、ふと両親のことを思い出して、涙が零れそうになってしまった。
「…これは、"ありがとう"の涙だから…」
寂しい…会いたいよ、お父さん、お母さん…。零れそうになる本音を必死に抑え込んだ。いくら立川基地で暮らし、隊員たちと仲良くなろうとも、訓練校で仲良い子がいようとも…両親の温もりがないのは、胸が張り裂けそうでとても冷たくて寒い。
ふるふると震える手のまま自主トレを続ける。いつの間にか流れた涙の跡はまだ消えない。それでも私は強くなる為に自身を鍛える。そんな時だった、トレーニングルームの中に入ってきた人物に声をかけられたのは…。
「付き合おか?」
隊員はまだ訓練中のはず…そう思い振り返ると、第6部隊にいるはずの保科さんだった。まさか、亜白隊長が引き抜いたのは彼…?