第2章 再会
立川基地に帰り自主トレーニングをしてからご飯やお風呂を済ませる。それが終わるとこれまた日課の基地内徘徊へと移る。これは両親の面影を探し、彷徨うのだ。
だんだんと薄れていく両親の笑顔や声…忘れたくないのに頭の片隅からぽっかりと抜けて落ちていきそうなのだ。
だから、基地内を周って2人の名前や写真を見つけては思い出に耽ける。たまに音声や動画を見させてもらったりしている。この立川基地には、確かに両親が生きていた証が記録されているのだ。
もう一度会いたい…そんな思いを抱きながら記録を巡る。そんな時にふと聞こえてきた、声を潜めて話す隊員たちの声。
「刀とかってさ、正直古くね?銃だったら遠距離で安全圏から狙えるじゃん」
「まあ安全ってわけではねぇけど、刀よりはいいな。銃の方が威力あるし」
あの人の活躍を見ていなかったのか?自身を犠牲に出来る強さ…子供を助ける為に怪獣の腹の中に入る覚悟…この人たちにはあるのかと、思わず口を挟んでしまう。
「"刀"とか"銃"とかではなくて…"隊員としてどう在りたいか"だと思いますよ?いちいち討伐中に安全かどうかなんて考えないですよね?」
防衛隊員でもないただの訓練校生が討伐に出たこともないのに生意気な口を聞いてしまい、ポカンと口を開ける隊員たちを尻目に慌てて逃げるように立ち去った。
隊員にあんなことを言ってしまったのを、後から咎められるのではとヒヤヒヤするが、あの人の強さを見た後にそんなことを言われるのは、我慢が出来なかった。