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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第5章 仮契 〜契初〜


「ふくたいちょお〜…」

缶ビールを1本空けた時からふわふわとしてきて、気分が良くなる。ずっと口角が上がってるし、笑いが止まらない。楽しい…隣に副隊長がいるのが嬉しい。

もう終わりやと持っていた缶を取られて、寂しくなった手で副隊長に触れた。肩に頭を預け、腰あたりの服を掴む。

「宗四郎さん…ふふ、ふふふっ」

「怖いわ、なんやその笑い方」

ケラケラと笑う副隊長を見て、目を細めて見つめる。甘えたい、ふとそんな欲に駆られた。

拒む反応を見せない彼に今度はあからさまに抱きついて名前を呼ぶ。好き…だけど言えない。この気持ちがバレてしまえば、私がこの人を守ることは叶わなくなる。

それでも、お酒の力で大胆になった私は副隊長に密着して甘え続けた。

「ふふっ、宗四郎さんかっこいい…八重歯好き…」

「お前…酔ったらそんな甘えたなるんか……なんで僕のことかっこいい思うん?」

探るような副隊長の問いに副隊長だからです、と気持ちが気付かれない程度に返した。副隊長をかっこいいと思うのは自然だろう。誰だって憧れている。

完全に身体を預け、胸は副隊長の腕で潰れている。副隊長の手を太腿で挟んでしまうという大胆さ…いつもの私では有り得ない行動。これが本当に私がしたかったことなんだろう。この人に触れていたい、この人の温度を感じていたい。

「……誘っとるん?この前あないなことした男にくっついて、何されるかわかっとる?」

寝巻きのショートパンツから伸びた太腿に、副隊長の手が触れた。
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