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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第4章 指令


「なっ…ここで脱がないでください…」

「インナーと変わらんやろ」

身体のラインがくっきり出るインナーだとしても、布があるのとないとじゃ全然違う。着ていたTシャツを脱いで上半身裸で近付いてくる副隊長から慌てて逃げた。

でも結局捕まり、後ろから抱き竦められた。

「慣れてもらわんと困る。家でくらい気ぃ抜いて過ごしたいんや」

君も好きなようにしぃやと私のTシャツまで脱がせてくる。必死に抵抗しても脱がせられて、下着姿のまま肌と肌が重なった。温かい…安心と共に焦りが湧いてくる。本物じゃないのにこんなこと…。

身体をガチガチに固まらせ、どうすることも出来なかった。固まりすぎやと笑いながら脇腹に移動した指が、柔らかく蠢く。擽ったさに耐えられず、腰をくねくねと捻りながら必死で逃げた。

引き剥がそうとしても擽ったさで力が入らずに、暴れる度に副隊長の手が胸に当たりそうになったり、擽る手つきではなくなったりする。

「ちょ、ふふっ…あ…そ、しろさん…」

「っ…あかん」

擽ったさとは違う疼きが全身に駆け巡り、僅かに甘い声を漏らし、昨夜の余韻で名前を呼んでしまった。

一瞬だけ副隊長の熱を帯びた下半身が私の腰を押し返した。その瞬間、副隊長は正気に戻り、すぐに離れる。

「……はよ準備せんと、遅れるで?」

頷いたが、私を支配する副隊長の熱に身体と心が治まるのに時間がかかりそうだった。

昂ったその熱も混み上がった気持ちも全て、なかったことにするつもりですか…?

答えのない問いかけばかりが増えていく。
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