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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第22章 決結


明暦の大怪獣――怪獣9号の中から出てきたバケモン。ほんまに今年は豊作やったな。新人らがおらんかったら、この国は怪獣の手に落ちてたかもしれん。いや、誰か一人でも欠けとったら__。

カフカが倒した明暦の大怪獣だったものを見つめる。身体はすでに悲鳴を上げている。調布飛行場に現れた怪獣を掃討してからの、怪獣12号。そして、明暦の大怪獣。強敵との連戦。

「―――澪」

あの子のとこ行かんと…もう救護班が向かっているだろうか。

「小此木ちゃん、澪はどうしとる」

「救護班を向かわせています!」

「僕も行く」

休めと言われるが、あの子の顔を見ないと、僕は休めない。

10号、もうちょい気張れ。

今出せる全力を出して、地を蹴った。鼻からまた血が溢れてくる。ほんま、身体中痛いわ。やけど、澪の方がもっと痛いはずや。

「っ!?四ノ宮!?」

いきなり腕を捕まれ、足が宙に浮く。ナンバーズ4の力か。飛行能力。

「記念公園ですよね!?」

「せやけど…お前はもう限界やろ!」

「副隊長もですよ」と高速で飛んでいく。風圧が悲鳴を上げている身体を容赦なく、殴り続ける。それでも、限界を超えている後輩が、僕の大切な人の元へ運んでくれている。痛いなんて言ってられへん。
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