第21章 本心
"「僕が全てをかけて愛しとる女は――弱ない」"
ごめんね、聞こえてる。でももう、喋る気力がないの。体力が残っていない。息が上手く出来ない。心臓から血が身体に巡っていかないような感覚。
ダンゴムシでもやはり怪獣。脇腹を噛み千切られて、血が止まらない。突進で下敷きになり、骨は砕けている。幾らスーツで止血を試みても、温かい鮮血が溢れてくる。
早く止めなきゃ…シールドをお腹に集中させていたので、たぶん大丈夫。だけど、私の血がなくなったらこの子は……まだ宗四郎には言ってないの。だから、絶対守る。私が一人で守る。
「はっ、っ…そ、しろ……後で、伝えたいことが、あるの…」
唇が震える。身体は少しも動かない。それでも私は今、一人で生きてるんじゃない。
「澪!?もう喋らんでええよ、後でちゃんと聞いたるから、今は休んどき」
「絶対だよ」と声を振り絞って、視界は暗転した。
宗四郎、私たちの"みこと"が安心して笑えるように、お願いね…。