• テキストサイズ

偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第21章 本心


"「僕が全てをかけて愛しとる女は――弱ない」"

ごめんね、聞こえてる。でももう、喋る気力がないの。体力が残っていない。息が上手く出来ない。心臓から血が身体に巡っていかないような感覚。

ダンゴムシでもやはり怪獣。脇腹を噛み千切られて、血が止まらない。突進で下敷きになり、骨は砕けている。幾らスーツで止血を試みても、温かい鮮血が溢れてくる。

早く止めなきゃ…シールドをお腹に集中させていたので、たぶん大丈夫。だけど、私の血がなくなったらこの子は……まだ宗四郎には言ってないの。だから、絶対守る。私が一人で守る。

「はっ、っ…そ、しろ……後で、伝えたいことが、あるの…」

唇が震える。身体は少しも動かない。それでも私は今、一人で生きてるんじゃない。

「澪!?もう喋らんでええよ、後でちゃんと聞いたるから、今は休んどき」

「絶対だよ」と声を振り絞って、視界は暗転した。

宗四郎、私たちの"みこと"が安心して笑えるように、お願いね…。
/ 409ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp