第21章 本心
「よぉし、今度こそ怪獣は終わりだ、隊員と戦うぞ!!」
「勘弁せぇアホ、身体動かんわ」
瓦礫と化した地面の平らなところに寝転がり、身体を休ませる。あとは――立川だけやな。頼みます、亜白隊長…!
「小此木ちゃん、澪のこと教えてくれ。包み隠さず、真実を――」
12号と戦闘中、小此木ちゃんは慌てていた。それを僕に隠した。十中八九、澪のことやろう。生きとってくれたら、それでええ。怪獣から逃げとってもええ。君は隊員である以前に、僕のもんや。
小此木ちゃんは言葉に詰まりながら、それでもしっかり報告をしてくれた。澪の小隊は、死者はいないが、壊滅状態。怪獣は全て撃破。7.7の討伐者は――澪。
「ははっ、さすが僕の奥さんや」
澪と話したいと小此木ちゃんに告げると、「少しだけなら…」と繋いでくれた。あの時のような、コロコロとした可愛らしい声が鼓膜を震わせて、気持ちいい。
「お疲れ様です、副隊長…さすがです。本当、かっこいい……宗四郎、大好き」
「澪もお疲れさん。ようやった。愛しとるよ……そのまま休んどき。全部終わったら迎えに行ったる。ニコニコして"お疲れ様"言う準備しとき」
震えた掠れた声が二つ。そして、可愛い声は途絶えた。小此木ちゃんの叫びのような声が響き渡る。
「澪ちゃん、しっかり!!今、遠隔操作で止血を……」
小此木ちゃん、呼び方間違うてるで。今は澪は、隊員やよ。
目を瞑って深呼吸をした。泣かへんからな。君は、死なへんから。君からの"お疲れ様"、待っとるから。
10号が行かないのかと聞いてくるが、今はそんなことをしている時ではない。君が安心して休めるように、僕は戦う。
「僕が全てをかけて愛しとる女は――弱ない」