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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第20章 驚出


ほんまに出動時は最悪やった。10号め…ヘリの底、くり抜きおって。こいつはほんま、高いもんばっか壊すな。

そのせいで僕は敵密集地帯に孤立し、10号とも息が合わずに空回るばかり。
今回は僕が10号に合わせたが…今、目の前には――識別番号付与、クラス大怪獣がいる。怪獣12号や。

澪のところにも本獣クラスが現れた。いや、元々本獣クラスだらけやったと思うけど…現れたんは、ほぼ大怪獣に分類されるような奴や。今のあの子に、あの小隊に処理能力はない。

死んだら許さんからな。
はよ、澪のとこ行きたいけど、僕がここを離れるわけにはいかん。

「あの女、死ぬぞ」

「…るさい、死なんわ」

10号の言葉を一蹴し、目の前の敵を見据える。10号と違って、12号は喋らない。だが――12号がこいつの完成品。斬撃勝負。幾ら強敵だろうと、僕は勝つ。

何度、刀伐術を食らわせても、傷が増えるのは僕だけ。刀も折れてまうし…出来損ないコンビの僕らは負けられへん。兄貴が保科家の完成品なら――僕は出来損ない。刀を握ることでしか、自分の価値を見出せない。

それなら…目の前のこいつを倒すことで僕は、僕の存在を証明する。僕が死んだら、あの子も死ぬ。僕らは繋がっとる。なら…僕が生きとったら、澪も死なへん言うことやろ!

「小此木ちゃん、ケース7、実行や」

12号を、斬る…!
次々とポッドが投下されてくる。9号は二刀型の僕しか知らんはずや。

このスーツの解放戦力は83%から上昇しない。何かが足りないのか、それとも…僕と10号の限界値なのか…今はわからない。

「とにかく、解放戦力の上昇が見込めないなら――戦術の変化で、勝機を見出す」

装備を捨て、投下されたポッドから別の武器を取り出す。
こっちは兄貴の十八番やから、できれば使いたなかったけどな。

腰に刀を差した。
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