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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第19章 美命


午後の訓練が終わる頃、視界の端に宗四郎と"アヤ"が映る。どうして…まだあの人が宗四郎に付き纏うの。

後ろから宗四郎に抱き着き、その手はお腹から下りていき――触れる。引き剥がそうとしていた宗四郎の手は、その女の身体を投げ飛ばした。何かを叫んでいるが、私のところまでは聞こえなかった。

訓練が終わるとすぐに宗四郎がこちらまで来て、痛くない強さで手を引っ張っていく。触られたの、気にしてるのかな…私も嫌だけど、嫉妬しないと言ったし、これ以上はあの人に乱されたくない。

「そ、宗四郎…お疲れ様」

「ん、君も」

短い会話。でも…なんだか、温かかった。どこに行くのかな?特に聞きもせず、ただついていく。声は優しいのに、空気がピリついていた。

よく知らない部屋に連れて来られて、お願いがあるんやけど…と私の肩を押して屈ませる。床に膝をついて、どうしたの?と肩に触れている手に指を絡ませて握った。

「……触られたん、めっちゃ嫌やった。君もやろ?……さ、触ってや…」

後半はほぼ聞き取れなかった。不貞腐れているような、拗ねているような…とてもイライラしているのはわかった。

手を離して太腿に指を這わせる。ほんの少しだけピクッと震えた宗四郎を見上げて、ゆっくり指を上に滑らせていく。でも、指で触れる前に頬をつけて、鼻で擦ってから、優しく何度も食んだ。

「っ…はぁ…澪、好きや…」

私も…と顔を擦り寄せて、また指を絡ませる。手を握ったまま、隊服の上から刺激を続けた。
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