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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第4章 指令


見つめていれば、眠そうな蕩けた顔からいつものキリッとした顔に戻っていく。

「朝霧…おはよう」

完全に覚醒し、私を苗字で呼ぶ"副隊長"。夜の甘さと寝起きの甘さが、一気に遠い昔になったよう。もう、"宗四郎さん"じゃない。

「お、おはようございます…」

どうして2人きりだったのに、誰も見ていなかったのに、あんな距離であんな甘さを見せたのですか?現実に引き戻されていく感覚が酷く冷たくて、心臓が握り潰されていく。

夢だと思うにはあまりにも鮮明に記憶に残ってしまっている。私のこの想いも切なさもどこへぶつけたらいいのですか?溢れさせたのはあなたでしょう?

一度ぎゅっと抱き締められて、指がお腹を滑りながら離れていく。副隊長の身体は私から離れていくのに、この身に残った彼の熱や感触は消えないまま…。

「起きよか…まだ寝てたいん?遅ぅまで起きとったようやし、ギリギリまで寝ててええで?」

また優しさが染み渡っていく。心臓だってまた高鳴っていくのに、心は冷えていった。私の感情は全て、この人に支配されてしまったかのよう。

起きます…と目を伏せながらゆっくり起き上がる。

現実はどうしてこんなにも無慈悲なのだろう。呼び方も触れ方も何もかもが、あの甘さが嘘だったかのように戻されていく。この寝室から出てしまえば、慌ただしく息苦しい朝の時間が幕を開ける。

私の気持ちだけが寝室に取り残されていた。
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