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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第4章 指令


目が覚めるとまだ副隊長の腕の中にいて、眠って落ち着いていた心臓がまた音を立て始める。顔にも熱が集まって、火傷するように熱い。

それでもジッと寝顔を見つめていれば、この顔のどこかに唇が触れたかもしれない、ということを思い出して申し訳なくなる。もし、唇に触れてしまっていたら…。

「……澪ちゃん?おはよ」

いつの間に起きたのかとジッと見つめていたが、その目が開くことはなかった。すぐにおはようございますと返して、寝起きの甘く掠れた声で名前を呼ばれたことに対して、唇が震えて涙まで出そうになる。

「そ、宗四郎さん…」

まだ慣れない彼の名前を呼び、寝起きの甘さに浸っていた。

「なぁに?可愛ええね」

お腹の上にあった手が脇の下まで伸びて、彼の腕によって柔らかな膨らみは形を変えた。そのことをあまり意識しないようにし、顔がおかしなことになりそうなので慌てて顔を背けた。

ぎゅっと目を瞑って、甘すぎる副隊長の寝起きとその腕と戦っていた。寝起きの彼は腕がどこに当たっているのかもわかっていないのだろう。それか、意識などしていないか。

もっと私を意識して…。

私の独りよがりの気持ちなのに、この近さに欲が出てきてしまう。
この人の心を全部私で埋めたい。

顔をまた副隊長に向け、ぼんやりとその整った顔を見つめた。
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