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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第19章 美命


ソファに凭れながらボーッとし、私も寝室へと向かう。宗四郎の寝室…で寝てもいいのかな?まだ怒っている気がして、ドアノブを動かすことが出来なかった。

扉のすぐ横で壁に背を預け、そのままズルズルと下りていく。膝を抱えて蹲った。一緒にいたかったな…寝室に入っていっても、追い出されるのが怖かった。

30分程経っただろうか…いきなり扉が開いて慌てる。怒られると思い、頭を抱えて隠れるようにする。一切、隠れられてなどいないが。

「なにしとんの。寝な、明日きついやろ。僕、トイレいくから、入って待っとき」

「いいの…?」

ニコッと笑った宗四郎を見て嬉しくなり、弾みながら寝室に入っていく。少しするとすぐに宗四郎が戻ってきて、掛けてたいた布団を取られた。

どうしたの?と聞く前にうつ伏せにされ、太腿の上に座った宗四郎に疑問ばかりが浮かぶ。全ての指で背中を撫でられて、ビクビクと肩が震える。何か喋って欲しい…。

「っ、な、なに…?」

「んー?マッサージしたろ思て…寝てええで」

指に少しずつ力が入っていって、気持ち良さにゆっくり息を吐きながら目を瞑った。
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