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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第19章 美命


数ヶ月が経ち、第3部隊と第1部隊は合同演習を行っていた。あれから宗四郎はプロトタイプの10号スーツを着ての訓練が多くなり、私の訓練につくのはほとんど減っていた。

自身の訓練も熟しながら、日比野さんや私の訓練までつけている。

「まだまだやな。ほな、昼休憩」

日比野さんの拳をマットで受けて痺れたのが気に食わなかったのか、日比野さんにマットを渡し、殴り飛ばしていた。

私はと言うと…まだお昼だというのに、地面に這いつくばっていた。なんなの、あの人…私をあれだけ扱いておいて、日比野さんの訓練までして、あんなに涼しい顔をしている。

「澪…午後もあんで?」

「はい……抱っこ…」

宗四郎を見上げ、思わず甘えた口を聞いてしまう。宗四郎はしゃーないなと肩に手を回し、膝の裏に手を滑り込ませて抱え上げた。

「まっ、まっ……こういうのじゃなくて…」

周りに見られていて恥ずかしかった。所謂、お姫様抱っこというものをされて、よくされていたとしても、周りに人がいるのは恥ずかしすぎる。

「ん?お気に召さないですか?お姫様」

「お姫様やめて……」

笑っていて、何もやめるつもりがなさそうな宗四郎を睨んで、首元に顔を埋めた。絶対、真っ赤になっているから、誰にも見られたくなかった。
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