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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第18章 愛縛 〜縛愛〜


お風呂から上がり、寝室に連れていかれる。ベッドの上に横たわった私は、優しい表情をした宗四郎をボーッと眺めていた。さっきまではあんなに、欲情に顔を歪ませていたくせに…。

一度寝室を出てまた戻ってきた宗四郎は、ずっと上半身が裸で、下着のみ履いている。まあ、私は何も着せてもらえなかったが…気にせずに、幸せを噛み締めていた。

「さ、飲み?」

身体を起こされて、目の前にペットボトルが差し出される。顎を上げて、口を開けた。このくらいの甘えは許して欲しい。

唇についたペットボトルの口から離れて、首を振る。口を開けたまま宗四郎を見つめた。何をして欲しいのか気付いた宗四郎は、笑いながら水を口に含んだ。

頬に添えた手で位置を調整され、重なった唇から水が喉を通る。絶対、こんなことはしないのに、宗四郎だけは違う。宗四郎だけにはして欲しいとさえ思う。

――愛している。

「もうちょい飲もか」

「ん…好き…」

溢れ出る想いは隠せないままもう一度水を飲まされ、喉を鳴らせば舌が絡み始める。擽るように口内を舐めて離れていく。もっとしたいけど苦しい、クラクラする。

「後は自分で飲み。触りたなるわ…また中出ししてもええんやったら、飲ませたるで」

意地悪に笑った宗四郎の手から水を飲ませられる。ある程度飲むとペットボトルは離れ、宗四郎の口へと移った。

ペットボトルをナイトテーブルに置いた宗四郎が、布団を掛けながらゆっくり倒してきた。隣に横になって、おやすみと頬に口付ける。

「僕も好きやよ」

耳元で囁かれた愛に安心して目を瞑った。
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