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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第18章 愛縛 〜縛愛〜


「遅かったな、カフカ。もうちょい遅かったら、澪のこと、抱いとったわ」

「ちょ、もう離して……揉むな!」

揉むのを再開したその手を、隊服の上から叩いた。痛いわぁ…とわざと臭い拗ねた声を出して、渋々、手を離していく。

「すみません。でも…基地内ではやめた方が……」

「あ?わかっとるわ」

日比野さんの言葉に、一瞬、宗四郎の声が低くなり、ビクッと肩が震えた。日比野さんに関しては、顔が真っ青だ。そんな怒らないで…と軽く肩に触れる。怒ってへんでと笑っていた。

わかってるくせにこの前、基地でしたよね…?それは言わないでおいた。

その後は日比野さんに隊式格闘術を教える宗四郎の動きを、瞬きも忘れる程見つめていた。たまにその動きを真似して動いてみる。チラッと見た宗四郎の視線には気付かなかった。

「澪、おいで」

どうして?と首を傾げる。ええからと手招きされ、大人しく近くに行く。

「やってみ?」

「え…うん」

宗四郎がやっていたように拳を突き出してみる。肘を伸ばした状態で止められ、腕に触れられる。ここや、と腕を少し上げられた。

「おい、カフカ。休んでええなんて、言うてへんで」

私たちを見ていて動きが止まっていた日比野さんに注意し、私の腰に触れた。グッと下げられて、もっかいや、と言われた。
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