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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第18章 愛縛 〜縛愛〜


「宗四郎、暑い」

「るさい」

中庭の隅で、闇に染まっていく空を眺めていた。フェンスに背中をつけ、後ろから抱き締めてくる。ぴったりとくっついて、お互いの熱が混ざり、この季節は暑かった。

最近…というか昨日から宗四郎が離してくれない。耳を擽る僅かな吐息が、やけにはっきり感じた。お腹に回った手が、胸まで上がるのを堪えているようだった。

「澪…僕はいつ死ぬかわからん。あ、君は生きなあかんで?……やから、我慢するんやめたねん。澪に、触れていたい」

静かな宗四郎の語り。既にその瞬間を覚悟しているようだった。

「今、この右手は…君のおっぱい触りたい言うとる」

「あ、うん……そっか」

一気に雰囲気を戻さないで欲しい。温度差がすごい。隊服の裾から滑り込んだ手が、優しく膨らみを包み込み、持ち上げるように揉む。揉むだけだからまだいいけど、見られたら気まづい…。

名前を呼ばれて、少し斜め上を向いたまま振り向く。優しく唇が重なって目を閉じた。誰かに見られているかもしれない。でも、私も宗四郎と触れ合いたかった。

触れただけの唇が離れていきそうで、ぺろっと舐めた。舌先は少し震えていた。宗四郎は鼻で笑い、舌を入れてくる。舌が絡んで、胸を揉む手が止まっていた。

お互い夢中になってするキスは、周りを見えなくさせた。ふいに動いた指がブラの上から、突起を爪で弾いた。鼻にかかった甘い吐息が漏れる。

「あ、あの〜……」

「っ!宗四郎!」

日比野さんの声が聞こえて慌てて離れようとしたけど、唇は離れても、胸に触れていた手がそれを許さなかった。
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