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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第18章 愛縛 〜縛愛〜


「澪ー!来てもうた!」

次の日、久しぶりの非番だった宗四郎を寝かせたまま基地に来ていた…のだが、何故か昼休憩近くになると、ここにいるはずのない人物の声が聞こえた。聞こえた方向に目を向けると、訓練室の入り口に隊服を着た、愛しい人の姿を捉える。

仕事でも残っているのだろうかと首を傾げる。そしてすぐに昼休憩になり、宗四郎は私に駆け寄ってきた。どうしているの?と問いかける前に唇は塞がれ、触れるだけのキスをされる。

「寂しなった…澪と一緒にいたい」

ギュンッと心臓が鷲掴みにされ、愛しさを溢れさせられるところだった。しかも、私よりも上にあるはずの目線が上目遣いで見つめてくる。

ちょっとした好奇心で、切り揃えられた前髪を掻き上げてみた。これは…整った顔が私の視覚を支配し、かっこよさと可愛さがせめぎ合っている。私の顔は今、なんとも言えない表情になっているだろう。

「澪…顔、やばい。笑うんか我慢するんか、どっちかにしぃや……ふっ、ふはははっ!」

声を震わせながら喋った後、盛大に吹き出して笑い始める。見ないで!と目元を手の平で覆い、笑う唇を黙ってと言うように塞いだ。
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