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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第18章 愛縛 〜縛愛〜


なんとか表情筋を戻し、宗四郎も落ち着かせて食堂へ向かう。手は指を絡めて繋がれていた。

食堂まで来ると、隣に座った宗四郎に見つめられる。なんでこんな見つめられているのだろう。ご飯を食べたらいいのに…。

宗四郎は名前を呼びながら私の耳を手で隠し、顔を近付けてくる。どうしたのだろうと耳を傾けた。

「昨日のセックスやばかったな。中出ししとるんに、澪…もっともっとって……」

「っ!バカ!!「いったぁ!!」あ、ごめん」

ここで言うようなことではないことを耳打ちされて、思わずビンタをしてしまった。どうしよう…嫌われたりしないかな…。

何度も謝りながら頬を撫でる。周りがザワザワとし始めて、やらかした…と思った。みんなの前では仲良しでいないといけないのに。

「めっちゃ痛いわぁ。酷いやん…ちゅーしてくれたら、ほっぺも機嫌も治るかもしれん」

ドキッと心臓が跳ねる。そんなこと、ここで出来るわけない。

「僕のほっぺも機嫌も、どうでもええんや…」

ぷくぅ…っと頬を膨らませた宗四郎が、拗ねているような声を上げる。元はと言えば、宗四郎があんなことを言うのがいけないと思うのだが…。

ごめんなさい…と謝りながら、少し赤くなった頬に一瞬だけ口付けた。すぐに宗四郎は笑顔になり、ご飯を食べ始める。機嫌は悪くなっていなかったと思うが、その赤い頬を見て、とても申し訳なく思った。
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