• テキストサイズ

偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第18章 愛縛 〜縛愛〜


お風呂から上がり、肉じゃがを美味しそうに食べる宗四郎を見つめて、好きだなぁ…と思った。たぶんきっと、私はこの人を死ぬまで好きだろう。いや、死んでも好きかもしれない。永遠に。

これ以上辛くなる前に離れたいのに、それも出来ない。どうしたら私だけを見てくれるの…。

食べ終わった食器の後片付けは宗四郎がして、ソファで寛ぐ。後片付けを終えた宗四郎が隣に座ると、くっつきたくなる衝動に駆られる。

だから私はその衝動を押さえる為に、酷い言葉を吐いていた。

「好きにならなきゃよかった…ずっと惚れられるだけで、惚れることなんてなかったんでしょ。他の女抱いた手で私に触れていた。他の女に甘い言葉を囁いた口で、私の名前を…好きを、言わないで」

気付いた時にはもう遅くて、気持ち悪いと吐き捨てていた。宗四郎の声は聞こえない。息を呑む音が聞こえて、少し息が荒くなっている気がする。

傷付けた。大好きな人を傷付けた。こんなこと、言うつもりなんてなかったのに。
自分で言っといて、声が震える。ごめんなさい、宗四郎…。

でももう、謝る意味もない気がした。勝手に喉を通って出たこの言葉が、私の本心なのだろう。ならもう…この人の隣にいたら、もっと傷付けてしまう。

ごめんなさいの代わりに、傷付ける言葉だけが溢れ出る。

「ずっと嘘ばっかり…ちょっと私がしないだけで女連れ込んで…自分の欲のことしか考えてない。そんな人、私…だいっき……っ!」

「……それ以上は言わんといて…その言葉だけは、聞きたない」

口を押さえられて、目が合った赤紫の瞳からは、大きな雫が今にも零れそうだった。
/ 413ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp