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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第18章 愛縛 〜縛愛〜


別に話すことなんてないが、二人で部屋に来て、沈黙が流れる。話さないのなら、出ていって欲しい。これ以上、私の心を掻き乱さないで。

「んっ!?やっ!ちょ…んっ!」

いきなり頬を掴まれて唇を押し付けられる。抵抗しようとした手はぎりっと掴まれて痛かった。唇を噛んで無理やり離す。少し鉄の味がした。

宗四郎の顔が見れなくて、顔を背けて目を瞑った。あの人としてたくせに…どうせ、キスもしたんでしょ。熱くなった目頭を恨めしく思った。

「好きや、澪。ほんまに好き……僕のこと、避けんで。頼むから…昨日ことはほんまにごめん。家まで来て、我慢出来んくなった」

ごめん…と近付いてくる宗四郎をビンタした。元に戻れると思ってるのがバカみたい。私がしなかったから悪いと言いたいの?手の平がジンジンして熱かった。

宗四郎に背中を向けてベッドの横で蹲り、涙が出てこないように必死に堪えた。この人の前で泣いてたまるか。この人にこれ以上、泣かされたくない。

すぐ後ろに来た宗四郎は私を囲うように腕を伸ばし、目の前にスマホを翳す。いきなりなに……スマホの画面を見ると、アヤの連絡先が映し出されていた。

「ごめん…これくらいしか思い付かん。もうアヤとは会わない。連絡も取らん。僕、澪がおらんとあかんねん」

宗四郎はアヤの連絡先を消した。それくらいで信じられるわけがない。繰り返さないとも限らない。たまたま会って、またそういう関係になるんじゃないの?

「許さない…絶対、許さない」

傷付いた心はそう簡単には、元に戻らないんだよ。嘘は嫌い。出来ないことを約束するのも嫌い。嘘と変わりないから。

「ん…それでも傍にいて欲しい。澪の隣にいたい。ほんまに好きやねん…それだけ信じて」

私の「無理」という言葉だけが空気に溶けて、部屋は静まり返った。
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