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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第18章 愛縛 〜縛愛〜


足を止めることなく、見知った門を通り抜け、廊下を走り去る。隊長室へと辿り着き、まだ帰っていないことを願った。

扉を開けると黒髪を高い位置で纏めた人物が目に入る。よかった…いた。目を見開いて驚いた表情をする彼女に謝りながら中に入る。

「っ…隊長、すみませんっ、お願いがあって来ました!」

「だ、大丈夫だが……どうした?なんで泣いてる?」

溢れ出てくる涙を止めることが出来ず、嗚咽をしながら亜白隊長にお願いをする。

「す、すみません…偽装結婚の件、うっ…やめたいです…」

何があったと駆け寄ってきて涙を拭いてくれる。でも、全てを言うことが出来なくて、ただもう続けられないと訴えた。

結局、宗四郎は追いかけて来なくて、やっぱり私はただのオモチャだったのだと思った。

亜白隊長は宗四郎も納得してるのかと聞いてきて、私は首を振る。このことは言っていないから。お願いしますと何度も頭を下げた。

「わかった。明日、保科も交えてちゃんと話そう。今日は基地で休むといい」

何度も頷いて、以前使っていた部屋へと向かう。
本当は宗四郎は、色んな人に言い寄られることに、そんなに困ってはなかったのではないか。気分が良かったのではないか。そう思ってしまう。

偽装結婚をすれば相手とそういう行為まで出来ると思ったからしたのではないか。

もうやだ…考えるのはやめよう。
宗四郎のことを頭から振り払い、ベッドに沈み込んだ。
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