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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第18章 愛縛 〜縛愛〜


アヤとは別れて家に帰り、宗四郎が帰ってくるのを待っていた。私がしなくなったら、またアヤとするのかな…考えたくもないことが、頭の中を支配する。

鍵の開く音が聞こえて、慌てて玄関へと向かう。おかえりなさいと出迎えて、お風呂を沸かした。私は既にシャワーを浴びたから、宗四郎だけ。

ソファに座る宗四郎に聞きたいことがあるんだけど…と話しかけた。

「最近まであの人としてたって、本当?」

誤魔化すことなく、直接聞いた。

「え……なぁに言うとんの?してへんて。む、昔の話や言うたやろ?」

慌てている。一瞬見開いた目は、泳いでいた。隠し通すつもりなんだ。私は既に知っているのに…。

「そっか…お風呂、もう少しだから、ちょっと待ってて」

すぐに話題を変えたけど、宗四郎がちゃんと話してくれるまで、私はこの人と身体を重ねることはもうないだろう。あの人のとこに行くのならそうすればいい。どうせ私たちはまだ、偽装のままだ。

震える拳を背中に隠した。心は傷付いているのに、この人が好きで堪らない。別にしてたって構わない。偽装なのだから…だけど、嘘をつかれるのは嫌だ。ちゃんと話して欲しかった。

隣に座らせられ、好きやとキスをされる。本物がどうかなんて信じられるわけがない。信じようと思ったのに、信じたのに…それは意味がなかった。

「澪、ベッドで待っとって…」

お風呂が沸くと宗四郎は名残惜しそうに離れて、浴室へと向かった。

誰が宗四郎の寝室に行くかと自室へ向かい、布団に潜り込む。もう眠ってしまおう。目が覚めた時には、全て夢であることを願った。
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