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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第4章 指令


ベッドに潜り込み、ギリギリまで端に寄る。どうしよう…心臓が落ち着かない。

「なんで一緒じゃないといけないんですか…?」

「ソファでなんて寝かせられんやろ」

緊張で冷えて、手や足の感覚があまりない。このまま寝たら、目が覚めることはないんじゃないかと思う程、心臓が早く脈打っている。
ソファで寝た方がよく眠れる気がします、副隊長…。

「そんな端に寄らんと、もっとこっち来ぃや」

布団の中で私の腰や脇腹に触れながら手を探り当てると、一気に引かれて向かい合わせになってしまう。

寒いん?と冷えた私の手を握りながら聞いてくる。首を振って答えると、握ったままおやすみと言い始めた。

こんなの…寝れるはずないじゃないですか…バクバクと高鳴る胸と、手や足とは対照的に熱くなる頬。こんな状態でどうして平然としてられるんですか。

そう思う度に意識なんてされてないのだと寂しくなる。どうして私だけこんなに想ってるんだろう…辛い。それなのに彼に触れられると私の身体は熱を帯びて、嬉しいと全身で叫ぶ。

「……僕にもっと触れて欲しいん?…これは、嬉しいって反応やないの?」

指を絡めて握られた手は私の胸に当たる。副隊長の指もほんの少しだけ胸に触れていて、余計うるさくなる心臓。このまま破裂しちゃうんじないかと思う程だ。

「だからっ、慣れてないだけですって!」

ふぅん?と含みがある声を漏らして、空いている手を私の頭の下に潜らせた。そのまま引き寄せられて、鼻が副隊長の鎖骨の下辺りに触れる。

「やけど…嫌がってないやん?」

嫌なはずない、だって…ずっと好きだったんだから。それでもこの気持ちはバレてはいけないと、今あるこの距離は任務だからと、言い聞かせていた。
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