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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第18章 愛縛 〜縛愛〜


お腹に回った手で遊んでいると日比野さんが来たのか、宗四郎は声をかけた。

「浮かへん顔しとんな。そんなことで、僕から亜白隊長の隣を奪えるんか?日比野カフカ」

ちょっと待っとってといつの間にか宗四郎は、日比野さんの首に刀を構えていた。いや、なにしてるの。

日比野さんは驚いて尻餅をついている。どうやら宗四郎は日比野さんが正体を隠していたのが気に食わなくて、口に刀を突き立てたらしい。ドッキリみたいだ。刀をびょんびょんと弾いている。模造刀…。

日比野さんは涙を溜めて、ずっと謝りたくて…と宗四郎を見上げている。次の瞬間、日比野さんは宗四郎の餌食になった。

「だからチャラや言うとるやろーが!!辛気臭いの嫌いやねん!!」

あ…その腕で首絞めるのはやめてあげて…加減はしてるだろうけど、すごく苦しそうだ。

日比野さんが離れた宗四郎はまだ言いたいことがあるようだ。改まってもう一つ伝えとくと日比野さんを見つめた。

「第3部隊を救ってくれたこと、感謝しとる。怪獣8号にやなく、リスクを顧みず返事した、日比野カフカにや」

宗四郎の後ろで頭を下げた。助けてもらったのに、私は日比野さんの為に何も出来なかった。だから、せめて感謝を…。

どうやら日比野さんはこのまま変身を続けると、人に戻れなくなるかもしれないようだ。宗四郎は9号は自分が倒すと、だからもう変身するなと言っている。

「ゆっくりでええから、日比野カフカの道を行け」

それを伝えに来たと宗四郎は日比野さんに背を向けた。私が好きになった宗四郎だ。どこまでも優しいこの人が愛しい。

それでも日比野さんは自分の力じゃ誰も守れないから、8号になって戦うと…。日比野さんのことだ、どんなに無茶をしてでも、リスクがあろうとも、誰かを守る為に突き進むだろう。

「ついて来い。僕が戦い方を教えたる」

駐車場に向かう宗四郎を、日比野さんと一緒に追いかけた。
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