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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第18章 愛縛 〜縛愛〜


「澪ちゃ〜ん、あーんしてや」

隣に座る宗四郎をそっと見上げる。演技…ではないよね?呼び捨てで呼ぶと言ってたのにちゃん付け出し…。

食堂でご飯を食べていると早くと腰を抱いてくる。演技か本物かわからないと思わず呟くと、腕を引かれて頬を引き寄せられる。そのままキスをされて、慌てて引き剥がした。こんなとこで何をするの。

「全部本物や。ずっと本物やった。そんな疑わんで」

唐揚げを宗四郎の口の中に押し込んで、ごめんねと謝った。許さへんと笑いながらご飯を食べている。全然怒ってはいないようだ。

宗四郎はずっと私を見てくれていた。演技だと思っていたものも、そう考えると本物で間違いないのだろう。私は愛しい人の本心にずっと気付けずにいたのだ。幾ら謝っても足りないだろう。

先に食べ終わっていた宗四郎の肩に頭を預ける。その上に宗四郎の頭が乗った。このままでいたい…そう思っても時間は過ぎていくもので、地獄の訓練が再開した。
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