• テキストサイズ

偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第18章 愛縛 〜縛愛〜


家を出る直前、玄関で宗四郎の耳に近付く。

「ねぇ宗四郎……大好き」

「……ふっ、ははっ!お返しのつもりか?大人を揶揄ったって、意味ないで?効かんわ」

むぅ…と顔を顰めて睨み上げると、ちゅーしてと唇を尖らせてくる。頬に口付けるとちゃうとまた唇を尖らせる。頬を押さえ付けて唇を重ねる。必死に舌を絡ませて離し、背伸びをして頬や鼻、額にキスをした。

「好き…大好き。愛してる」

インナーの襟を捲り、首に吸い付いた。そのまま胸まで下りて耳をつける。どんなに平静を装っても、ここだけは嘘をつけない。私の耳に伝わってくる鼓動は早く脈打っている。

宗四郎は何食わぬ顔で私の手を握って玄関を出ていく。隠してる…笑うとなに?と覗いてきたので、額を軽く叩いてやった。

「痛いやんかぁ、もう…今日もお仕置やなぁ」

「は!?なんで!もうあれはやだ…」

「はは、わかったわかった。本気で嫌がっとるんやったら、もうしぃひんよ」

絡められた手を強く握られた。宗四郎の頬は、ずっと少しだけ赤かった。
/ 409ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp