第18章 愛縛 〜縛愛〜
家を出る直前、玄関で宗四郎の耳に近付く。
「ねぇ宗四郎……大好き」
「……ふっ、ははっ!お返しのつもりか?大人を揶揄ったって、意味ないで?効かんわ」
むぅ…と顔を顰めて睨み上げると、ちゅーしてと唇を尖らせてくる。頬に口付けるとちゃうとまた唇を尖らせる。頬を押さえ付けて唇を重ねる。必死に舌を絡ませて離し、背伸びをして頬や鼻、額にキスをした。
「好き…大好き。愛してる」
インナーの襟を捲り、首に吸い付いた。そのまま胸まで下りて耳をつける。どんなに平静を装っても、ここだけは嘘をつけない。私の耳に伝わってくる鼓動は早く脈打っている。
宗四郎は何食わぬ顔で私の手を握って玄関を出ていく。隠してる…笑うとなに?と覗いてきたので、額を軽く叩いてやった。
「痛いやんかぁ、もう…今日もお仕置やなぁ」
「は!?なんで!もうあれはやだ…」
「はは、わかったわかった。本気で嫌がっとるんやったら、もうしぃひんよ」
絡められた手を強く握られた。宗四郎の頬は、ずっと少しだけ赤かった。