第18章 愛縛 〜縛愛〜
シャワーを浴び終えてご飯を作っていると、後ろからお腹に手を回し、肩に顎を乗せてくる。宗四郎はくっつき過ぎだと思うの。
気にせず手を動かす。それでも高鳴った胸は鳴り止まない。耳元で囁かれるからだ。可愛ええ、好きと…。髪に頬を擦り寄せて、作り終わるまでその手は離さなかった。
ご飯をテーブルに運んで、忘れとったと珈琲を淹れる彼を笑いながら見つめる。大好きな珈琲を忘れるなんて、本当…何してるのよ。
椅子に座って待っているとほいとカップを置いて、頭を撫でてくる。ありがとうと見上げると、口付けて離れていく。目の前に座った宗四郎は、ニコニコしながらご飯を食べ始めた。
「なぁ澪……好きやよ」
「ん"っ!ゴホッ、ゴホッゴホッ!……急になに…」
「だーはっはっはっ!可愛ええな!ゆっくり食べぇ」
食べてる時にいきなり心を乱れさせないで…噎せて苦しい。本当にもう、この人は…揶揄っているのやら、楽しんでいるのやら…どっちも同じか。でも好きだと言うのは本心だろう。
宗四郎の大きな笑い声をなんとか押さえて、早く食べるよう睨みつける。怖いわぁとニコニコしながら食べる彼は、どう見ても楽しんでいるようにしか見えない。
今日も私の心はこの男に乱され続ける。いつも、私だけこんな状態にされる。きっと、私の方が想いが強いのだろう。