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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第18章 愛縛 〜縛愛〜


モンブランを片手にニコニコしながら帰ってきた宗四郎は、一瞬だけ口付けでリビングへと向かう。亜白隊長からちゃんとモンブランを差し入れてもらったようだ。機嫌がすこぶる良い。

「あげへんからな」

「ふふっ、私は食べたから大丈夫だよ」

冷蔵庫に入れて睨みを効かせる彼に思わず笑ってしまう。それに気分を悪くしたのか、背中を撫でたかと思うとホック外してソファへと逃げていった。何したいの、あの人…。首を傾げながらホックを戻して料理を再開する。

ご飯を作り終えてテーブルに運び、宗四郎を呼んで食べ始める。食後のモンブランが楽しみのようで、ニコニコと微笑んでいた。

「澪が作る飯、ほんまに美味い。死ぬまで作って」

「え?…あ、うん。死ぬまで私のこと好きなんだね」

揶揄うように言ったのだが、宗四郎は真剣な顔になって見つめてきた。

「当たり前やろ。やないと結婚せん」

結婚って…これは偽装結婚……本当に結婚してくれるの?

「そのうち、朝霧から保科にしたる。ええやろ?」

驚き過ぎて言葉を発することも出来ず、ただ頷いた。婚姻届を出すってこと?じゃあ今は婚約中?本当にこの人と…嬉しくて、頬を温かい雫が伝った。

「なんやもう、めっちゃ泣き虫や〜ん。可愛ええ」

すぐに涙を拭ってご飯を食べた。
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