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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第17章 愛縛 〜呟愛〜


宗四郎は私を抱き締めながら眠ってしまい、宗四郎の上にいたままなので、どうしようか焦った。絶対重いだろうし、退きたくても動けない。

少し顔を上げて寝顔をジッと見つめる。伏せた瞼から伸びる睫毛は長くて、閉じた唇は形が良くて色も美しい。切り揃えられた前髪は横に流れて、見るだけでサラサラだとわかる。

「なんで、そんなかっこいいの…好き。宗四郎のことだけ想ってる」

抱き締める腕に力が篭った気がした。

「なんでそないに可愛ええの。好きや。澪のことだけ想っとる」

「なっ…」

寝てたくせに…もう恥ずかしくて堪らない。熱くなった顔を隠すように逞しい胸に顔を埋めた。宗四郎の鼓動が早い…。

想いが届いた先は、こんなに温かかったんだ。

強く抱き締めてくれていた腕は次第に緩くなり、私もうとうととし始め、ゆっくり目を閉じた。
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