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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第16章 愛縛 〜爆愛〜


「んっ、あ……もうダメ!」

必死に理性を保って引き剥がした。料理をしてるし、今は出来ないから。

後は一人で作るとキッチンから追い出して、料理を再開する。このまま近くにいたら、何をされるかわからない。

「澪ちゃんは意地悪やなぁ…ちょっとくらい触らせてくれてもええんちゃう?」

触ったじゃん…。
カウンターに肘をついて見つめてくる宗四郎さんを無視した。

ご飯を作り終わって食べていると、終わったらすぐ教えてなと微笑まれる。何が終わったらなのだろう。ご飯?それなら言わなくてもわかることだし…。わからなくて首を傾げた。

「腹痛いの」

「…あぁ、うん」

顔赤いでと笑われて、すぐに顔を逸らした。このくらいで赤くなるわけ……頬は熱かった。生理のことじゃなくて、終わった後のことを考えてしまったからだ。

呼ばれて彼を見ると、返事をしようと開いた口に肉が入ってきた。いきなりなんだと思いながら見つめると、可愛ええねと口角を上げる。

どんどん鼓動は早くなっていき、宗四郎さんの顔すら見ることは叶わなかった。これ以上見ていたら、心臓爆発しそう…。

言いたいこと……喉まで出てきた言葉を飲み込んだ。だって、アヤともう会わないと言っている宗四郎さんの口から、その言葉は紡がれないから。
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