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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第16章 愛縛 〜爆愛〜


「お腹、痛いの。優しくして…甘やかして」

「あ…うん。なら、出来んの当たり前やな。なんべんも迫ってごめんな」

抱き締めてくれる腕は、いつも温かい。それに優しくて、いつも私を守ってくれる。安心した私は愛しさが溢れそうになるのを必死に抑えた。

もう面倒臭いこと言わないから、私の傍にいて…じゃないと、辛いの。胸が苦しいの。こんなにも好きにさせたのは、あなたなんだから。

「他に痛いとこないん?なんでも言うてな?澪ちゃんのことは、何よりも大事やから…大切にさせてや」

信じて欲しいなら、たった一つの言葉をちょうだい…それさえあれば、私はあなたを信じられるの。言ってくれないのをわかってるから、私も言わない。

「ここ…痛い」

胸に手を当ててぎゅっと握った。宗四郎さんはその手を握って、頬や額に何度も口付けてくる。擽ったくて、つい笑いが零れた。

やっと笑うたと頬を摘んで引っ張られて、痛いと笑いながら訴える。可愛いと言われる度に心臓が跳ねた。

それなのに、待ってと言われてもすでにもう待てそうになかった。いつまで待てばいいの?やっと気持ちが実りそうなのに、全部隠されて…それなのに縛られて、どうしていいかわからない。

「澪ちゃん…二人で会ってるんが嫌やったら……澪ちゃんも一緒に来るか?君には何も言わせへんから」

「宗四郎さんがあの人と一緒にいるの、見たくない」

燃えるようなあの熱を宿す宗四郎さんを知ってる人といるのなんて、誰が見たいだろうか。

「わかった。明日、基地でちゅーしよ」

なんでそんなことを言うのかわからないが、演技だろうと思い、頷いた。
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