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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第16章 愛縛 〜爆愛〜


「他の人のとこ行くくせに……」

「は?何言うとんの?……澪?」

背中に触れて優しく撫でてくる。

「なんで私とするの?都合がいい存在だから?」

溢れた言葉は次々と彼を責め続ける。

「こんな苦しいのやだ!私の気持ち知ってるくせに振り回さないで!だからどこにも行かないで!私のこと、見てよ…」

泣きたくはない。必死に涙を堪えて、布団に顔を押し付ける。

「……見とる。見とるよ」

優しく静かな声が降ってくる。

「やけど…もうちょい待ってて欲しい。都合がええ存在なんて思ってへん。苦しめて…振り回して、ごめん。でも僕は…澪しか見てへんから」

意味がわからなかった。どうしてそんなことを言うの?何を待てと言うの?それは本物なの?もう信じることなんて出来ない。アヤとしてるんでしょ。

布団を握り締めて泣かないように我慢した。

「……嘘。いつも言ってくれない。なんで会ってるのかも言ってくれない。聞いていいのかもわからない。私のこと見てない」

「会っとるのは…君を本物にする為や。セフレ言うたの聞いとったんやろ。昔の話や、今はちゃう。片付いたら全部言うから」

今日は抱かないから寝ようと布団の中に入れられる。枕になった宗四郎さんの腕は、温かった。
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