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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第15章 愛縛 〜涙愛〜


手を引かれてベッドに座ると宗四郎さんは後ろに回り込み、私を足に挟んで抱き締めてきた。

「澪ちゃ〜ん、機嫌治してぇ…澪ちゃんが嫌や言うんやったら、もうアヤには会わんよ」

私が言わないとやめないの?私の気持ちを知ってるくせに?

「その話は…帰ってからでも?」

宗四郎さんはわかったと言って、髪を寄せて首筋に吸い付く。やだ…そう思うのに、私の身体は勝手に背中を預けて、全てを委ねてしまう。

宗四郎さんは笑いながら抱き締める腕に力を込めた。ときめいても、気持ちは沈んでいく。

「えっちする?」

首を振って目を閉じた。一雫、頬を伝う。ご実家でそんなこと出来るものか。必死に顔を背けるがバレているようで、涙が流れた頬を拭い、頬にキスをされた。

壊れ物を扱うかのような繊細な手つきで私に触れ、その手は胸へと伸びていき、優しく揉み始める。やだ、とその手を押さえれば、すぐに離して抱き締める。

「僕のや。澪の全部、僕のや」

さっきのセフレの話はしないの?甘い言葉で全部、なかったことにするの?
嬉しいはずの抱擁は私を苦しめ続ける。

もう寝ようと布団の中に入った。
苦しいのも全部、私が宗四郎さんを好きなのがいけないんだ。我慢しなきゃ。
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