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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第15章 愛縛 〜涙愛〜


お風呂から上がり、宗四郎さんの部屋に戻る。
だが、まだお兄さんと話しているようで、扉を開けるのを躊躇った。

「やから、セフレがおる言うたやろ。あの子は……澪ちゃん、入ってきてええで」

気付かれた。さすがに宗四郎さん相手だと、隠れることは出来なそうだ。

セフレ…やっぱりあの人とは今も…。

部屋に入ると引き寄せられて、髪を撫でられた。

「まだちょっと濡れとるで。ちゃんと乾かさんと」

軽く胸を押して離れた。おかしくなりそう…なんでそんなに優しくするの?身体の関係まであるのに、優しくされると勘違いしてしまう。

「なぁ澪ちゃん…言いたいことあるんやったら、言い?アヤに言われたことが原因ちゃうんやろ?」

お兄さんの腕を掴んで寄り添った。私も好きにしよう。どうにかこの人への気持ちを抑えつけないと、私がおかしくなってしまう。胸が締め付けられて、どうしようもなく苦しい。

お兄さんの後ろに隠れる私を見て宗四郎さんは、すぐに私を引き寄せた。掴まれた腕が痛い。

「ずっと僕のや言うてたやないか…僕以外の男に触んな」

「ふっ…はははっ!お前らほんまになんなん?偽装やったけど、情が湧いたってか?」

宗四郎さんはもう出てけとお兄さんを部屋から追い出した。ここで二人きりになるのはきついんだが…。
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