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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第15章 愛縛 〜涙愛〜


私の手を引いてニコニコと、関西弁が飛び交う街中を歩く。私も出来るだけ笑顔を作った。それでも、上手く笑えているかはわからない。

「澪ちゃん、なんか食いたいもんある?なんでも言うて。この辺は知り尽くしとるから」

笑う彼を見ていると、涙が零れてしまいそうになる。
首を振って、もう行こうと目を伏せた。

充分、世間には見せつけられたんじゃないかな…宗四郎さんを知ってる人なんて、たくさんいるだろう。すぐにSNSで広がると思う。だから、もういい。

日に日に大きくなっていく想いが、身を滅ぼしてしまいそう。この人を嫌いになれる理由が欲しい。

「そう言わんと、デートしよや。やから、そろそろ機嫌治して」

機嫌って…なに?もっと慰めてくれてもいいんじゃないの?あれだけで終わり?
そう思う資格がないのはわかってるから、必死で怒りを抑え込んだ。

もう、帰りたい。全部聞いてしまえば楽になれるだろうか。でも、この愛しい人を困らせたくないと思って、いつも胸につかえる。

どんなに苦しくても、笑顔を見せてついていった。この人には、私の気持ちなんて関係ないから。
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