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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第15章 愛縛 〜涙愛〜


あの後、第1部隊の長谷川副隊長が来て騒ぎを沈めると、みんなを連れて会議へと向かった。私は第1部隊の隊員たちと少し訓練をして待つことにした。

新人で平隊員の私が会議に出られるわけがない。宗四郎さんがきこるんや日比野さんに合わせる為に連れて来てくれた。

「朝霧!保科副隊長が来てるって…」

「日比野さん!来てますよ、小隊長たちも!」

二人と少し話してから一緒に訓練に参加し、私たちは確実に強くなっていることをお互いに確かめ合った。

だが途中で話しかけられて振り返ると――アヤがいた。どうして話しかけてくるの。知らないフリをしたらいいのに。

「宗四郎の奥さんよね?宗四郎っていつも優しいくせに、強引でしょ?」

アヤは笑っていた。まるで…私を手の平で転がすかのように。
宗四郎さんのこと好きなのかな…その想いは本物なんだろうか…。

「確かに宗四郎さんは優しいです。強引に…でも優しく求めてくれます」

まるで宗四郎さんを自分のものにみたいに話すこの人が、とても不快だった。
毎日会って楽しいのだと…。

アヤは厭らしい顔でニコニコ笑いながら顔を近付けてきた。そして耳元で汚い言葉を吐く。

「宗四郎がどんなセックスするか知らないだろ。愛されてないくせに、宗四郎の女ぶってんじゃねぇよ」

あまりにも冷たい声に肩が震え、同時に…宗四郎さんへの疑問が生まれた。私といる間は私以外を抱かないという言葉は、本物なの?どうしてこの人は、私が愛されていないと知ってるの?もしかして…そういうことも言える関係なの?

拳を強く握った。
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