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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第15章 愛縛 〜涙愛〜


「保科ァァ。ワレ、誰の許可取ってワシのナワバリに足踏み入れとんのじゃァ」

え…鳴海隊長って本当にこんな感じの人なんだ…。
葉巻のような物を咥えた人物に引いた。
宗四郎さんも宗四郎さんで…煽りまくっている。大丈夫なの?これ…。他の小隊長たちも言い合いを始めてしまった。

「あ、あの…保科副隊長、鳴海隊長…その辺に……皆さんも…」

「僕なんもしてへんよ?ほんまのこと言うとるだけ……」

「ボクの方が強い!」

えぇ…宗四郎さんの言葉を遮った鳴海隊長を見て、頭を抱えた。私じゃこの二人…いや、みんなを止められない。

すると、私の存在に気付いた鳴海隊長は、私を頭の先から足まで舐めるように見てきた。今度はなんですか…。

「保科の嫁か。ふっ」

なんで今、鼻で笑ったの?なんか、見下されてる気が…私、何もしてないのに…。

宗四郎さんが見るなと言うように私を背中に隠した。

「惚れられたら困りますんで…そない見んといてください」

どっちが?私が?私が鳴海隊長に惚れると思ってる?
私の気持ちを知ってるくせにそう言う宗四郎さんにムカついて、腕にしがみついた。

「宗四郎さんしか見てない…」

「……あぁ、そうやなくて…鳴海隊長が澪ちゃんに惚れんか心配で…可愛ええから…」

恥ずかしくなって一気に顔に熱が集まり、慌てて下を向いた。鳴海隊長が私に惚れることなんてないだろう。

じゃなくて…これは演技だ。何、本気にしてるんだろう。高鳴った胸がどんどん沈んでいく。わかってることなのに…。
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