第15章 愛縛 〜涙愛〜
同期たちは各部隊に移り、私は宗四郎さんの訓練を受けていた。
そんな時の訃報。四ノ宮功長官が殉職した。
きこるんは大丈夫だろうか……そんなわけないよね。私も両親を亡くした時は、胸が張り裂けそうだった。生きる意味さえ失くしたような気がしていた。それでもあの人がいてくれたから、生きて来られた。
私たち防衛隊員は祈りを捧げた。どうか安らかに…後は、私たちがやります。
四ノ宮長官は怪獣9号に飲み込まれた。そう、敵に防衛隊の情報が伝わったのだ。その為、宗四郎さんはあることを決意した。
私も呼ばれ、亜白隊長についていく。オペレーターたちがいる部屋。ガラス越しに宗四郎さんと10号を見下ろす。
「単刀直入に聞くぞ。僕らが9号と呼ぶ怪獣がおる。こいつについて知ってることがあれば吐け」
宗四郎さんは10号に9号の写真を見せた。
「ああ、構わんよ。俺は奴に作り出されたからな」
作った…!?怪獣が怪獣を作った…?10号程の怪獣を9号が作った。四ノ宮長官ですらも敗れた。怪獣8号や鳴海隊長ですらも討伐し損ねた相手――怪獣9号。
自身の手を握って見つめた。
強くならなきゃ…。
「ただし、条件がある。ここから俺を出して、俺と戦え」
宗四郎さんが出来ないと、その核ではもう戦えないと言うが、10号は違うと言葉を切る。
「俺を兵器化して、お前が着ろ。お前の身体を俺によこせ」
宗四郎さんが10号を着る…小此木さんが反対しているが、私は黙って宗四郎さんの答えを待った。
宗四郎さんは時間をもらうと部屋を出ていく。