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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第14章 愛縛 〜抱愛〜


ベッドの上でぎゅっと抱き締められて目を瞑る。お互いの温度や音が溶け合っていく瞬間。

息をする度に、あなたへの想いが募る。
息をする度に、胸が焦がれる。
いつかこの気持ちが紡がれた時――あなたはなんて返してくれますか?

「澪…ちゅーしてええ?」

なんで急に…寝るんじゃないの。さすがに今日はもう、えっちは出来ない。本当にキスだけで終わるのだろうか。呼び方がそうじゃない気がする…いつも宗四郎さんは私を呼び捨てにする時は、えっちなことをする。

返事をせずに胸に蹲っていると、何度も名前を呼ばれる。呼ばれる度に心臓が跳ねるからやめて欲しい…。

「…澪ちゃん、ほんまにちゅーだけ」

仕方なく顔を上げると唇が重なり、舌が入ってくる。
なんでいつも、こんなキスしかしないんだろう。このキスはなんか…身体だけを求められている気がして嫌だ。そうじゃないなら、ちゃんと示して欲しい。

粘着質な水音を立てながら舌が絡み、身体が熱くなっていく。
指先で背中をなぞられて、ピクピクと反応した。

ゆっくりと離れた唇は弧を描く。

「なぁ、したなった?可愛ええ声、出とる」

吐息が漏れ、鼻にかかった声が、背中を撫でられる度に出てしまう。

「な、なってない…もう寝よう?おやすみ」

「ふっ、おやすみ」

またぎゅっと抱き締められて、今度こそ眠った。
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