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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第14章 愛縛 〜抱愛〜


「ごめんな。さすがに無理やり抱いた後に、他の女に会う気はないわ。不安にさせてもうて…中出ししてしもたし……ほんまにごめん」

ずっと黙っている私を、家に帰ってきてソファに座らせ、優しく言葉をかけてくれる。
ぎゅっと抱き締めてくれた腕は温かかった。

宗四郎さんは私が言うまで待ってたんだろうか。もし私が言わなくても、行かないでくれただろうか。無理やりじゃなかったら会ってた?
ううん、無理やりじゃなかった。この人は私が本気で拒んだら、何もしない。

やっぱり…この人が好き。宗四郎さんを愛してる。
ただの優しさだと知りながら、その優しさに甘えた。

決して大きいとは言えない背中に手を回し、服を握り締めて縋った。

「宗四郎さん…ありがとう」

「僕、お礼言われることなんてしてへんよ。むしろ…ずっと澪ちゃんのこと、傷付けとる」

違う…私が勝手に傷付いてるの。宗四郎さんは悪くない。でも、それと同じくらい幸せをもらってるから、このまま一緒にいたいと思ってしまう。

ソファに膝をついた彼は私の膝の上に座り笑う。胸の高鳴りはずっと治まらなくて、苦しいのに心地良い。

頭を傾けて首筋を出した宗四郎さんは、私の顔を引き寄せた。

「つけて。澪ちゃんは僕に何してもええんやよ。何言ってもええ…僕の奥さんやから、許されるんやで」

本物じゃないのにいいのかな…好きでもないのに縛られてもいいのかな…宗四郎さんのことが何もわからない。

首筋に吸い付いて、そのまま肩に額を預けた。
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